日本語のカタチについて~動詞その①

日本語の形式の特徴について、金田一春彦の「日本語」によりつつ考えていく。

まず動詞についてだが、日本語の動詞が特定の語尾形式をとるのは動詞が活用するからだという。

 

そもそも、語形変化ということはその言語の使用者にとって記憶上の負担である。それならば、語形変化はなるべく規則的であることが望ましい。そのために、同じ機能を持つ語は同じような形をとることが要求される。

ドイツ語の動詞の語尾が、-en,-ern,-elnで終わり、フランス語の動詞の語尾が、-er,-ir,-oir,-reで終わるのはそれだ。日本語の動詞で言い切りの語尾がきまった形で終わるのもそれだ。「日本語(下)」p98‐p99 

 

 確かに動詞の活用の少ない、またはない言語と多い言語では負担の程度が違うことは間違いない。日本語に不規則動詞が少ないのはそもそも動詞が変化するからなのだろうか。

日本語の動詞の活用の程度に関しては変化パターンが200程度あり、ハンガリー語では342種類あるという。「日本語(下)p101」かつてウラルアルタイ語族でまとめられていたハンガリー語の活用形式には興味がある。金田一氏も日本語の活用形はアルタイ諸語朝鮮語とよく対応すると書いている。本当か?ここは今後深堀したい。

日本語動詞の活用の難易度については、ラテン語ギリシャ語、フランス語、ロシア語等に比べれば単純だそうだがこれはそこそこ難しいということか?

その他面白い記述として

 

(1)心に思ったとおり書くということは難しい (原形)

(2)彼は手紙を日に二、三十通ずつぐらい書く (終止形) 

「日本語(下)」p102

 

上の1と2を比較して、同じ「書く」が終止形と原形で区別されるものだとしている。

日本語の動詞に原形なるものがあるのかははなはだ疑問なのだが、面白い論点だ。